函館山の自然


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函館山散策コースの紹介



函館山の歴史

伐採と植林
函館山は最高峰の御殿山をはじめ、つつじ山、入江山などの12の山々から成ります。

牛が寝そべっているようにみえることから臥牛山ともいわれていますが、亀嶺山(きれいざん)、渓冠峰などと呼ばれた時代があるように、風と海流に削られ少しずつその形を変えています。

函館山の自然は伐採と植林の繰り返しといわれています。松前藩時代、北海道では木材は薪やニシン漁の燃料として、また藩の貴重な収入源の一つとして伐採された為、函館山ははげ山同然となってしまいました。

現在の豊かな森は、1799年(寛政11年)に蝦夷地が幕府の直轄地となり、1801年(享和元年)に、ここを巡視した幕府の役人が、「箱館管内の山は、海岸から一里余りは大体はげ山になってしまっていることから、木を伐採する時は植林の義務を課せるなどの伐採法を定めて取締まりを厳重にしなければならない」と報告したことにはじまり、江戸後期倉山卯之助をはじめ、高田屋の手で何十万本ものスギが植えられるなど森林保護に携わった多くの人々の手によるものです。

1854年(安政元年)になると、ペリー艦隊に随行したウィリアムズやモローが函館滞在期間中、函館山周辺から86種もの植物を採取したといわれています。

これらは、東洋の植物として研究され、新種として報告されたものも数多くあります。1899年(明治32年)には、函館山で要塞工事が始まり、周辺一帯が要塞地帯となり、立ち入りはおろかスケッチなども禁じられました。

終戦後、卯之助らによって植林されたスギは見事に成長し、様々な草花や野鳥、動物が生息する濃密な生態系をもった函館山が開放されました。
このように函館山は、人と自然、歴史とが共存して来た山と言う事が出来ます。


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函館山の楽しみ方

花と野鳥 函館山は、晴れた日、曇った日、雨の日、雪の日、それぞれに楽しむ事が出来ます。鳥や虫、草花など、いろいろなものに視野を広げて見ると、函館山は一日遊んでいられるだけの要素を持った素晴らしい山です。

そこで、「ただ歩くだけではもったいない」と言う人の為に自然がプレゼントしてくれる楽しみの数々を紹介します。


Point 函館山の植物を楽しむ
函館山は、温帯北部に属し、東北北東部と共通種の多い北海道でも本州的要素の濃い地域です。種の数にして約70%が本州北部のものと同じといわれています。函館山は軍の要塞として過去半世紀に渡り一般の立ち入りが禁止されていたため、自然状態は比較的良好に保持され、市街に隣接した狭い地域でありながら植物は600種以上と豊富で、豊かな環境を作り出しています。
春 木々の春は冬芽のふくらみから始まります。
冬芽は冬眠から覚め、函館山は新緑と花々の世界へと変貌します。
(エンレイソウ類・ニリンソウ・キンギンボク・スミレ類)

オオバナノエンレイソウ
オオバナノ エンレイソウ
コジマエンレイソウ
コジマエンレイソウ
キンギンボク
キンギンボク
夏 夏の函館山は木の緑も濃く、足元には様々な装いの花が咲き乱れます。
また、森の静寂の中では、セミの交響楽が響き渡ります。
(ヘビイチゴ・ウツボグサ・カワラナデシコ・キリンソウ・ツルアジサイ・エゾカンゾウ・エゾフウロ・ナンテンハギ)

ウツボグサ
ウツボグサ
秋 緑色に染まっていた函館山は真夏の強い光から開放され、花の季節も終わり、 木々は赤や黄色に染め上げられます。
(オオハンゴウソウ・ツリガネニンジン・ノコンギク・シロヤマギク・コハマギク・ヤマハギ・オミナエシ・サワヒヨドリ・クズ・ススキ)

ハウチワカエデ
ハウチワカエデ
サワヒヨドリ
サワヒヨドリ

【LINK】道南の山野草


Point 函館山の野鳥を楽しむ
函館山には渡り鳥を含めると150種類の野鳥が見られ、バードウオッチングに最適な場所です。函館山は海峡に突き出ており、一面だけが市街地に接し、他の急峡な三面が海に囲まれているため、野鳥にとっては四季を通じて安住の楽園であり、渡り鳥にとっても休息地となっています。
歩き回って様々な鳥を探す、あるいは事前に野鳥の習性を調べ、目的の鳥がいそうな場所を探すのも楽しみの一つです。
留鳥  一年を通して見られる鳥
アカゲラ、ヒヨドリ、ヤマガラなど約30種類
夏鳥  春から秋にやって来る鳥
オオルリ、ウグイス、ヤブサメなど約70種類
冬鳥  秋から春にやって来る鳥
ツグミ、カケス、ハギマシコなど約50種類

オオルリ
オオルリ

【LINK】道南の野鳥

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函館山の見どころ

散策 早春の芽吹きから始まって開花や新緑、そして、秋の深まりの中で、いっせいに燃え上がる紅葉の季節へと息もつかせずに表情を変える自然の演出力は見事なものです。

自分の足で一歩一歩踏みしめて行くと、車では決して見えない木漏れ日や鳥のさえずり、わずかな期間に咲く草花など、函館山は季節の言葉で語りかけて来ます。

散策コース紹介


 函館山を散策するにあたり、いつ、どのコースを行くのが一番よいのかを検討する事は、より多く楽しむために重要な事です。
函館山ふれあいセンターでは、函館山の動植物についての情報や散策コースの案内図などを配布していますので散策前に一度立ち寄ってはいかがでしょうか。
実際に函館山に入って見ると、樹木だけでなく様々な植物が生えている事に気付きます。一見雑然と生えているように見えるそれらの植物は、そこに棲む生物も含め、それぞれがばらばらに存在しているのではなく、互いに関連しあって、一つの生態系を作り出しています。
また、函館山は百万年前に活動していた火山で、火山噴出物が積み重なって出来ているため表土が薄く、植物にとっての生活環境は大変厳しいものです。
つまり、草花を採る事、枝を折ることが函館山の営みを破壊する事になります。
観察するときは、「自然の世界を覗かせてもらっている」という気持ちを忘れずに、空き缶ひとつ、吸い殻ひとつにも責任をもちたいものです。

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[資料編集・協力]

(財)函館市住宅都市施設公社

北海道函館市美原1-26-8
(TEL) 0138-40-3601

市内公園情報−函館山
  [参考資料]

・Yew-Net/(財)函館市住宅都市施設公社
・園芸植物大事典/小学館
・原色日本植物図鑑/保育社
・日本大百科全書/小学館
・北海道の花/北海道大学図書刊行会
(順不同)




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